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【学会発表】産学連携学会でL-RADの取り組みを発表

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sanren
2016年6月16日(木)、6月17日(金)に静岡県浜松市で開催された産学連携学会第14回大会においてL-RADの取り組みについて発表をいたしました。

シード技術開発におけるオープンイノベーションの新しい手法 ~公募型の先へ~

というタイトルで、非常に多くの方に興味を持って頂きました。

オープンイノベーションは”How to do”に関する議論が深まっており、公募型の活動が広がってきています。一方で”what to do”が次の議論の場になっていることをひしひしと感じています。

L-RADはこの”what to do”を探しだす強力なプラットフォームになる、と大きな手応えを感じました。

以下、要旨です。

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演題:シード技術開発におけるオープンイノベーションの新しい手法 ~公募型の先へ~

◯坂本真一郎、高橋宏之、西山哲史、高橋修一郎(株式会社リバネス研究開発事業部)

 

はじめに

今日、民間企業と大学等研究機関が積極的に連携し、イノベーション創出を目指す活動が活性化している。特に、事業により近い大学発ベンチャーと大企業等の事業連携は、創業期のベンチャーの経営支援を行うシードアクセラレータ等の数が増えたことや成功事例の蓄積が進んできたこと等に伴い、非常に活性化している。一方で、シードを産み出すための研究ステージでの連携を促進する方法は、製薬企業等による公募型の取り組みが2000年代後半に登場してからそれほど新しい方法が生まれていない。これらのオープンイノベーションの取り組みは一定の成果を挙げている一方で、その多くはニーズに対するソリューションを求めるタイプであり設定されるテーマも高度かつ限定的であることから、大学等研究機関が持つ多様な研究アイデアのごく一部にしか触れることができていない。

活動内容

発表者らは2009年に、研究者と民間企業のネットワーク構築を支援することを目指して若手研究者応援プロジェクトを発足した。本プロジェクトの主要な事業の一つである「リバネス研究費(https://r.lne.st/grants/)」では、大学等研究機関に所属する40歳以下の若手研究者・大学院生に限定して申請ができる研究助成を行っており、製薬、食品、化学、建設、IT分野を中心とした大手企業からベンチャーに至る様々な企業とのパートナーシップのもと実施している。発表者らは、リバネス研究費の取り組みを通じて、日本を中心に約3000名の企業との連携に積極的なアクティブな研究人材とのプラットフォームを構築しており、現在までに150名を超える採択者を出している。また、発表者のもとには、副次的ではあるが、リバネス研究費に不採択となった申請書も大量に蓄積している。発表者らはこれらの不採択となった申請書にも再活用の可能性があることに気づき、これらを収録した新規データベースの構築という着想に至った。

結果

データベース構築にあたり、大学等研究機関に所属する研究者、および企業研究所、研究企画、経営企画担当部署を中心にヒアリングを行い、産学連携活動の現状や課題、本構想に関する指摘をまとめた。産業界、学術界双方ともに、大枠としての本データベース構想については賛成意見が多く、大学等研究機関の研究者へのヒアリングでは、総じて新規性の喪失及び、アイデア盗用への心配の声が寄せられた。また、企業側からは意図せずに大学等研究機関の研究者の新規性を持つアイデアに触れてしまうリスク、いわゆる「知ってしまうリスク」への懸念が多く聞かれた。そこで、これら課題に対して対応したデータベースを開発し、株式会社池田理化、株式会社ジー・サーチと連携し「リバネス−池田 研究開発促進システムL-RAD(http://www.l-rad.net/)」を2015年11月に公開し、順次、研究者及び申請書の登録を開始している。2016年5月時点で150の研究機関から350名の研究者の登録を得るに至り、先行的に企業ユーザーも登録を始めている。

考察

科研費等公的競争的資金では、採択の基準が学術的な価値であることが多いと考えられる。このため、不採択となってしまった申請書を“産業的利用性”という視点で再評価することで、産業界が有用なアイデアを多く得られるのではないかと考えている。研究者にとっても、研究予算が付かなかったことで研究が進められていないテーマに対して企業が共同研究費をつける可能性がでることや、産業側の視点を学ぶことなどに繋がる。不採択の申請書(未活用のアイデア)を軸とした、これまでにない新しいオープンイノベーション促進を行うことが可能になると考えている。

データベース活用のキーになるのは、言うまでもなく不採択となった申請書の数および質である。現在、研究者や企業からの問い合わせに加え、大学への一括的な導入や、URA(University research administrator)や産学連携部署との連携体制の構築といった問い合わせも増えており、今後、不採択申請書の再評価という本データベースを活用した事業が企業のシーズ発掘だけでなく大学の外部資金獲得のための新たな手法として定着することを目指していく。